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拙いわたしの拙いぶろぐ

駄目人間代表が適当に書いた小咄をまとめて載せたり、大好きな戦国夫婦について語るだけ

ついのべ23

ついのべログ

ゾロ目って見かけると、なんだか嬉しくなりません?

 

己の両肩に手を置くすずに、才介は視線を返す。「独り占めしたいんです」何をと問えば、すずは唇を啄むように接吻する。「才介さんを私だけのものにしたい」不安に揺れる瞳が才介の心を掴む。然し幾ら縋られようとそれは叶えられぬ願いで。すまないと零した才介に、すずは「…わかってます」と呟いた。

 

 「明日は、雨が降るかも」昨日店に現れた蘭が呟いた言葉が、未だ耳に残っている。一応傘は持ってきたものの、空は知るもんかというほどの晴天で。隣を歩く彼は、すずが傘を持ってきたことに首を傾げていた。(…相合傘、できるかなって思ったんだけど、な)蘭ちゃんの予想通り、雨になったらいいのに。

 

 「好きって、言って」「好きだよ」「愛してるって、言って」「誰よりも、愛してる」「随分甘やかすんですね」障子が開き、才介とすずの様子を聞いていた様子の隼人が呟く。才介は、泣き疲れて眠ったすずの髪を優しく撫でて、口を開いた。「彼女が自分を大事にしない分も、俺が甘やかすと決めたんだよ」

 

 「いつの傷ですか」背中の傷を触れた指から熱が伝わる。「去年駆り出された一揆鎮圧だったと思う」もうすっかり治っているので痛くも痒くもないが、擽ったさに首を竦める。「…痛い」呟きに振り向こうとすれば彼女は傷を唇でなぞり、それを制す。「想う人が知らないところで傷付くのは、痛いんですね」

 

もしも奇跡が起こるなら、あの辛く哀しい出来事を無かったことにしてほしい。そうすれば何を失うこともなく、彼はあの頃の笑みや優しさを持ったままであれるはずで。あの日まで、過去を後悔することなど一度もなかったはずなのに、今の私には後悔ばかりが湧き出て、この腕では抱えきれずに零れていく。

 

胸に寄ると聴こえる規則正しい心音は心地好く、僕の心を癒すには十分だ。その音に抱かれながら僕は思考を深くに落とす。もしこの音が止んだら、僕はどうなってしまうだろう。痛々しく取り乱すだろうか、それとも涙が止まらぬまま裡に篭ってしまうだろうか。嗚呼、願わくば。僕より先に逝かないでくれ。

 

青空が雲で覆われ、雨が降り出した。初めは小雨だったそれはみるみる酷くなっていく。「花」呟いた名は、雨に掻き消され、誰の耳にも届かない。焦燥感が僕を煽り、走る速度を出来るだけ速める。最後に見た涙が脳裏に焼き付き離れないのだ。あれは、どういう意味だった?ちゃんと言葉で教えておくれよ。

 

「まだ許すとは、言ってないです」頬を膨らまし唱えられた宣告に、困って眉を下げ頬を掻く。いつもより強い口調の彼女もまた違った感じで可愛いなと思ったことは胸に秘め、隣で揺れる小さな手を奪い、その掌に口付ける。「ごめんね、もうしないから」「…約束ですよ」頬を赤らめた花が小さく呟いた。

 

その腕で抱き締められて、その手で愛でられて、その唇で愛を知らされて、その瞳を独り占めして、その口で愛を紡がれて。こんなにも愛おしまれて愛されているはずなのに。たりない、足りない。もっと、と思ってしまう。これ以上がない程に愛を示して、と強請れば、我が儘だと呆れられてしまうだろうか。

 

 「二人だけの約束だぞ」いつかの幼い声が、耳の奥に木霊する。あれは確か、まだ二人が幼稚で何も知らなかった頃のことだった。「…言い出しっぺが破ってどうすんのよ」呟きは、止まない雪に吸収される。“感情に身を任せないこと”「どうして庇ったの、ばか」早く、いつものように意地悪く笑ってよ。

 

ポッキーゲームしてるうちの子たちを草葉の陰から見守り隊(・Θ・ゞ)