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拙いわたしの拙いぶろぐ

駄目人間代表が適当に書いた小咄をまとめて載せたり、大好きな戦国夫婦について語るだけ

ついのべ24

ついのべログ

ゆずの砂糖漬けが美味しくて箸が止まらない、そんな秋です。

 

私とアイツの距離は近くて遠い。腐れ縁みたいなもので一見近いように思えるが、何でも知ってる訳ではない。そもそも男女の差がある。結局のところ、相手のことを判り切るなど出来っこない。「それでいいんだ、俺達は」喧嘩して、時折笑い合って。それでいい。アイツは悪戯に笑う。噫、悔しいのは何故。

 

遥か未来、平穏な時代が来て、そこに俺達が生まれ変わったとしたら。「その時も俺達は、喧嘩しているんだろう」馬鹿なこと、言わないで頂戴。凪は涙を溜めた目で音哉を見つめる。「その時は、一緒になってくれよ」「あたりまえでしょ」堪えきれず流れた涙は、もう目を開くことのない音哉の瞼に落ちた。

 

青い日、手放せないと私の体を強く抱き締めた彼の手はもう力が十分に入らないまま、私の手を握る。「ごめ、ん」溢れ出る血は装束を濡らす。噫、これが私とあんたの最期だと言うの?「おまえ、と、もっと、生きたかった、なあ…」嫌、いや。流れた涙に濡れた唇を柔く重ねる。「もう何も、」言わないで。

 

実家への道中。凪は何者かに薬を嗅がされ、意識を失った。意識が戻ったときには手足が拘束され、目の前で据わった目の音哉が凪の顎を撫ぜていた。「あっ、んた、何して―」なぎ。掠れた甘い声は、凪を呼ぶ。「これでずっと一緒、だ」人形のように綺麗に笑う音哉に凪の背筋は凍り、その顔は色を失った。

 

毛布にくるまる彼の隣に座る。彼は既に寝息を立てている。こんな何でもない時間が私の至福のひとときだということを、きっと彼は知らない。「ねえ、何もいらないんだよ、私。隣に居られるだけで十分なの」髪をひと撫でし囁く言葉を、彼は夢の中で聞いたのだろう。安らかな寝顔が更に幸せそうに緩んだ。

 

見守りたい恋があった。真っ直ぐでいじらしい恋は目出度く実った。憧れた愛があった。あたたかく優しいその愛は、強い結びつきとなった。激しく燃え盛るようなものではなかったけれど、それも彼ららしくて良いではないか。きっといつまでも手を繋ぎ笑い合うだろうふたりの往く先に、幸多からんことを。

 

背後から抱きすくめられ、耳元で囁かれた言葉に目を見開く。「それ…って」つまり。慌てて彼を見つめる。「ごめん、僕は自己中なんだ」だから答えは聞かないよ。何の邪気も携えぬ笑顔に、頭が蕩けそう、で。思考はもう、意味もなさない。“君の全てを僕に頂戴"何よりも欲しかった言葉に視界が滲んだ。

 

桜が咲くのを待たず去る僕を、梅の花だけが見送る。重ねていた手は温もりを残したまま、そっと離れた。僕がもう少し強かったなら、見送る君の元まで今すぐ戻って、君を攫むことが出来ただろうか。君の強さと優しさに甘えた僕が、別れに祈ること。(どうかあの笑顔が、途切れることのありませんように)

 

小さくて、細くて、柔らかい。彼女の手は、思っていた以上に女性だった。幼い頃繋いでいたはずのその手は、心臓に早鐘を打たせる。それもそのはず。あの頃とは、繋ぐ意味も理由も違う。然し一方であの頃と変わらず、心を癒すのだ。繋ぐ手に、少しだけ力を込める。(この温もりを絶やしたくはない、な)

 

人生の春と呼ばれる季節はあっという間に過ぎ去るようで、気付けばこの人と出逢って二年の時が過ぎていた。「時間が過ぎるのは早いね」雨に濡れる紫陽花を見つめた彼の呟きに、花は静かに頷く。「青春って知ってる?」首を左右に振る花に善四郎は目線を合わせた。「人生で最も、輝かしい時期」僕はね、そんな時期を君と過ごせて嬉しく思うよ。どうしてだろうか。そう語る善四郎が花にはどうしようもなく、儚く見えてしまった。

 

あ、ざぼん漬けじゃないよ(´∀`)