読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

拙いわたしの拙いぶろぐ

駄目人間代表が適当に書いた小咄をまとめて載せたり、大好きな戦国夫婦について語るだけ

ついのべ25

ついのべログ

栗の渋皮煮が食べたいこのごろです。

 

君を愛おしく思う気持ち。君を愛する気持ち。「愛してる」では事足りない、大きすぎる想いは、僕の中で未だ育っている。他と比べたことはないけれど、言葉で愛を伝えている方だと自負している僕は、自分の口から出た愛の言葉に、時折首を傾げてしまう。断じて、嘘ではないのだ。嘘ではないのだけれど、それで言い表せているのだろうかと心配になる。言葉にならないこの想いを伝える術を、誰か教えてはくれまいか。

 

世界の片隅でふたりきり、そんな未来があったなら。今ではもう、叶うことは無い夢物語。泣きたくなるほど青い海を、彼女が身を落とした崖から見下ろす。「ねぇ、」初めて愛した人よ。君の為なら、僕は地位だって権力だって、捨てられた。君を笑顔に出来るなら、何もいらなかった。「どうして独りで、抱えきってしまったの」憎しみも、怨みも、辛さも、哀しみも、苦しみも、愛も、全て。僕は一緒に、抱えたかった。

 

 「君のこと、好きになれればよかったのにね」身を起こし着物を羽織る女を一瞥し、障子の竪框に背を預けた男は呟いた。その手には彼に似つかわない煙管が握られている。女が反応に困り眉を下げると、どうして恋というものはうまく出来ていないのだろうかと、男は苦笑する。「好きにならなければ良かったと思うほどに好きなお人が、おられるのですね」口をついて出た女の言葉に、男は目を細め、庭に視線を落とす。「好き、で終わらせられれば良かったんだろう…な」

 

朧に浮かぶ月は、薄桃色に彩られた山桜を美しく照らす。春は何もかもが淡い。かほりも色も想ひ出すらも、全てが仄かで朧げで。君の顔を思い出したいのに、春の気にあてられた夢うつつなこの頭は、もうそれすら許さない。“彼の人よ 忘れたまねど 朧夜に 思ひわづらわば 忘れあらなん"君はそう遺して逝ったけど、君を忘れたとしても、僕の未練が消えることはきっと一生ないんだよ。

 

連ねられる嘘で固めた言が、耳障りで仕方ない。「もういい。それ以上聞きたくない」お前の戯言も言い訳も、あの子の泣き声も嗚咽も、もうこれ以上いらない。 「今後一切、彼女に触れるな」これは命令だと告げれば、目の前で必死に自己保身の為の虚言を並べていた男は、頬を引き攣らせて口篭る。男を放って、頬に手を当てたままの少女の顎を引き、目線をこちらに向かせる。「泣かないで」唇で目元に光る泪を掬い、囁いた。

 

分かってはいる。彼の一度決めたことに対する意思の強さも、その答えに至った理由も。でも。「納得、できません」彼の目を見据えて語気を強めれば、彼は動揺を見せる。「わたし、あなたと生きたいって思ったんです」恋を自覚するよりも前のこと。彼を支えたいと、彼と最期の時まで共にいたいと、ただひたむきに願った。それが恋慕とも愛慕とも知らずに。瞳を揺らす、情けない姿の彼の前に立つ。「どんなに辛くても苦しくても、あなたの側にいたいです」

 

好きとか愛してるとかいう、愛を示す記号。「それはただの言葉でしょう」人は言葉を持つ。それゆえに言葉に頼り過ぎて、愛を示す術をそれしか知らない。でも、言葉で愛は推し量れないし、言葉なんてものは簡単に嘘になり得るのだ。「ねえ、大事なのは言葉じゃないですよ。心、です」あなたを愛していると叫ぶ、心。私を愛していると想う、心。「存外、言葉なんてなくても想いは伝わるの」つまるところは。「もっと、接吻してください」それに、限るのです。

 

「彼女を蔑ろにする人間に、彼女を渡すことは出来ません」真っ直ぐな目で男を見据え、はっきりした口調で言い切った彼の姿が、丸一日経った今でも瞼に焼き付いている。あれから色んなことがあり、今の今まで彼と話す時間すらなかったわたしは、やっとの思いで彼を捕まえた。「吃驚した、花ちゃんかあ」大量の本を抱える彼は、無邪気に笑う。その笑顔だけで、私はとろとろに溶けてしまいそうだ。「ねぇ、善四郎さま」あなたが隣で笑っている。そんな未来を、願ってもいいですか。

 

僕のいない世界で、君はどう生きるのだろう。時折、口にすれば怒られてしまいそうなことを考えてしまうのは、いつ命を落としてもおかしくない身分ゆえか。「あなたがいないと生きていけない」などとは絶対に思っていないと断言出来る。君は僕が思うよりずっと、嫋やかだ。一人でだって、懸命に生きていける。だけど。「あなたと生きたい」そう言ってくれた君の為にも、僕は少しでも長く、生きていたいと思うのだ。

 

二度と離さないと誓ったのに、この手で掴んでいたのは、自分勝手な思いばかりだった。そんなことにすら今まで気付けなかった馬鹿な俺は、涙を堪えて出て行った彼女を追う資格など無く。「資格?そんなもん初めっからなかっただろ。自分勝手でも何でも、お前が離したくないと思うなら、追いなよ」俺の背中を蹴るように捲し立てた親友に、小さく笑う。だから俺は勉強はできても馬鹿だって言われるんだろうな。「ありがとう」なあ、自分勝手だとしても、俺はお前を手放したくない。独りよがりで、寂しがり苦しがりのお前を、一人にはしないよ。

 

干し柿もいいよねえ(*´艸`)