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拙いわたしの拙いぶろぐ

駄目人間代表が適当に書いた小咄をまとめて載せたり、大好きな戦国夫婦について語るだけ

ついのべ32

ついのべログ

今年中に40行くかね?

 

眩しかった。陽の光を浴びた、君の弾けんばかりの笑顔が。目が眩んだ、故に目を逸らしてしまった一連の動きを釈明する言い訳はまるで子供の戯言のようで、流石の君の機嫌も悪くなる。唇を尖らせる君の髪に触れ、近づいた二人の距離に戸惑う君に僕が言うことといえば。「今更だけど、見つめていいかな」

 

人の死というのはなんと儚いものなのだろう。色とりどりのはずの傘がモノクロに見えるのは、暗雲垂れ込む空の下だからか。コンビニで買ったビニール傘を差す手は気づかぬうちに震えていて、黒いパンプスを履いた足を止める。人は死んだら星になるらしい。(噫、でも)星だっていつかは死ぬのでしょう?

 

シンデレラが落としたガラスの靴。そんな靴に憧れたこともあったけれど、少女と言えぬ年齢に差し掛かる凪は慣れないハイヒールを脱ぎ捨て、聖夜に彩られた街を走る。零れる白い息を、漸く見つけた背中にぶつける。あんたが用意した、ガラスの靴は砕けたわ。だから、あんたの手で私の靴を生み出してよ。

 

『馬鹿』「だね」「ですねぇ」両耳に投げ込まれた、穏やかながら容赦ない言葉に音哉は返す言葉もないと項垂れる。「そんなに好きだって気づいたのなら、連れ去るくらいすれば良いじゃないか」音哉の真向かいに座って、珈琲に砂糖を何杯も入れながら善四郎が言うのに、ベビーカーに乗った双子をあやす花も続く。「音哉さんのためなら私たち、なんだって手助けするのに」仮にも親友の結婚式をぶち壊すのを手伝うのか。己が親友の愛妻に慄き、頬を引き攣らせた音哉は冠婚葬祭用のスーツを着ていて、勿論それは善四郎も同じで、花も膝丈のパーティドレスを華やかに纏っている。「式は終わっちゃったけど、披露宴はこれからだよ」いいのかい、そう問うた親友はいつものように穏やかに微笑んでいて、音哉はぐっと息を呑む。このままあいつがあの男のものになっていいのか。あの男の隣で笑っているのを、見ているだけで終わるのか。「―手伝ってくれるか」息を吐くように声を絞り出した音哉に、二人は満面の笑みで応えた。『―もちろん』

 

あと一歩。あと一歩でお前に触れられるというのに、どうしても、踏み出せないんだ。音哉を見つめてくる瞳はいつもと同じく毅然たるもので、それでも僅かに躊躇いを見せる。嗚呼、この一線を越えることを恐れているのは、お前もなのか。「…変わってしまうような、気がするな」変えてしまうような気がして、しまう。音哉の呟きに、凪が手を伸ばす。くしゃり、と撫でられた髪が笑う。「…あんたとなら、私、変わってもいい」その瞳はもう、躊躇いを持ってはいなかった。

 

私の真意を探る貴方の腕を、心の臓の前で跳ね除けた。そこは、誰も触れてはならない場所。愛する貴方でさえ、触れられたくない場所。瞼を閉じ、揺れる瞳を隠す一瞬で逃げともいえる答えを見つける。開いた視界に顔を歪めた貴方。ごめんなさい、でも。結ばれない赤い糸ならいっそ切ってしまいましょう。

 

ああほらまた。視線の先で何処ぞの男と談笑する彼女が、惜しげもなく笑顔を男に見せている。隙なぞ一切無さそうに見えて、これが隙だらけなのだ。恋に落ちてから長く付き合ってきたこの黒い感情を制御する術はまだ見つからない。俺に気づいた君に言いたいのはこれだけ。俺だけを見て俺だけをあいして。

 

私が幾ら涙を流そうと、世にとってそれは星屑の涙ほどの価値しかないのだろうか。星屑の涙ほどの意味しかないのだろうか。それでも溢れる涙を堪えることもできず、それが自然であるように私は泣く。独りでも生きていける。でも、ふたりを知ってしまった今の私にはあなたが必要で。「独りに、しないで」

 

はっとした時には、指先を奪われていた。開かれた掌に口付けた彼は部屋に漏れる月明かりに照らされていて、まるで柔い光をその身に纏っているようだ。交わった目に、彼に似つかわしくない狼が宿っている。「...いい、よね」尋ねる言葉に、花は小さく頷く。拒めないと知って、なんて狡い人。引き寄せられた胸の中で、熱い口付けを受けた。

 

玄関を開けた途端、パタパタと心地よい足音がして、愛しの妻が顔を出す。「お帰りなさい」「ただいま」今日もお疲れ様、と労ってくれる彼女に微笑めば、彼女も笑む。「先にご飯にします?それともお風呂にします?」新婚カップルの代名詞だな、とその次を待ち構えていれば、花は顔を真っ赤にしてふるふると震え出す。羞恥に負けたか、善四郎は妻を抱き寄せると耳元で囁いた。「花ちゃんっていう選択肢は、ないの?」

 

あ〜、前に書いたもの読み直すと恥ずかしさで埋まりたくなる。