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拙いわたしの拙いぶろぐ

駄目人間代表が適当に書いた小咄をまとめて載せたり、大好きな戦国夫婦について語るだけ

ついのべ33

ついのべログ

疲れ目のこの頃です。( つω-。 ` )ゴシゴシ

 

すれ違う中交わらない視線を追うこともできず、僕はそのまま真っ直ぐに歩を進める。これでいいはずなのだ。そう、これで全ては終わり新しい頁が開く。なのに。前触れもなく降り出した雨は僕の肩を濡らす。仰いだ空は、なんて暗い顔をしているのだろう。握った拳ごと身を翻し、渋味を口内で噛み締めた。

 

初めからわかっていたことではないか。自分に言い聞かせる絶望の言葉は、この心とやらを酷く痛みつける。願いなんて、祈りなんて。どうすることもできないとわかっていて尚、縋った自分が莫迦だったのだ。そうやって自暴自棄になるしか、私に残された道など他になく。噫。今も目を閉じれば、あの香り。

 

気付くと向けられている視線とか、他の人に向けるものより少し違うような気がする優しさとか、一歩間違えれば誤解されそうな甘い言の葉とか、赤くなった頬とか、誤魔化し笑いとか、たまに表れるオトコノコの顔とか。「期待しても、良いんですか」真っ直ぐに善四郎を見据え、花は言う。その頬は椛のように紅い。知りたいの、貴方の気持ち。善四郎は瞬きを一つして、それから花の髪に触れた。「期待、してよ」

 

不器用な彼が蓮華草で作った、脆い指環。左手の薬指に嵌めてもらって、二人で内緒話をするように笑い合った。「おはよう」目が覚めた花に、肩を貸していた善四郎が微笑う。「...夢、かぁ」しみじみと呟く花に、善四郎は首を傾げて不思議がる。あの指環は押し花にして、想ひ出を共に詰め込んだ。寄り添った体が、温かい。この人といれば、心まで温かさが染み渡る。嗚呼。どうかいつまでも寄り添ったままでいさせて。

 

花が帰ってこない。そう告げたおばさんはオロオロしていて、僕は上着を羽織るのも忘れて家を飛び出した。漸く見つけた花は公園のブランコで涙に暮れていて、僕は隣のブランコを陣取る。どうしようかと考えに耽っていれば「痛っ...」、お尻が滑って勢い良くブランコから転げ落ちた。「っくふふ、」その様子を見た花が、笑い声を出す。「...いたた、」良かった。心の中で呟く。ピエロでもいい、君を笑顔に出来るなら。

 

今ならきっと優しくなれる。腰窓の先で綻びだした桜を目にして、才介はふと思う。この桜が散る頃には、才介は正式にこの鶴羽城の主となり、変わらざるを得ない、新しい毎日が始まることだろう。だから、忙しくなるその前に。「お前の想いを聞いておきたいんだ」今なら、どんな言葉をぶつけられたとしても、優しくしてあげられるはずだから。

 

こうするしか、なかった。貴方は珍しく、言い訳がましく吐き捨てる。「…でも、もっと言い方ってものがあるんじゃないかな」相手の気持ちに添って考えたことが、ありますか。私の言葉に、彼は狼狽えた。「それは-」「…ないんだ」向けたのは軽蔑の眼差しで、貴方の顔が強ばる。「女の子が、ううん、人が好意を伝えることが、どんなに頑張ることなのか、才介さんはわかってない」そして私の気持ちも、貴方はわかってくれないのでしょう。

 

幼い女の子の時分にいつか夢見た、私だけをずっと愛してくれる、優しくて賢くて笑顔が素敵な男の子。こんなに近くにいただなんて。すずは表情を緩ませる。描いていた人とは少し違ったけれど、それでもきっと、ううん、思っていた以上に素敵な人だと言い切れる。だって、こんなにも私を大事にしてくれる人は、きっとこの先現れないことでしょう。

 

「必ず迎えに来るから、待っててくれ」最期にそう遺した彼は、人間五十年といわれる寿命を全うすることなく、すずの目の前からいなくなってしまった。それから、うん百年。生まれ変わって平成の世に生きるすずには、不思議なことに前世で愛した人の記憶があった。しかし、待てど暮らせど彼は現れることなく、すずは一つ一つ年をとっていく。「…今ならわかりますよ」あれは貴方の、最初で最後の、優しい嘘だったんですね。ハナミズキの木の下で、すずは一人、呟いた。

 

かけっこのスタートダッシュは昔から苦手だった。けれども後から追い上げて何人も抜いていくことは、得意だった。「でも、このかけっこだけはスタートから負けるわけにはいかないんだ」グラウンドの奥で友人と笑い合う好きな子を見て、才介は親友に零す。「そっか。そんなら脇目振らず、真っ直ぐ走れよ」隼人はふっと微笑んだ。

 

温熱アイマスクしたいなー(*´꒳`*)